焼きいもの甘い香り、きのこのうまみ、梨のシャキッとした食感。秋の食卓には、楽しみな味覚が並びます。「秋になると、食べものがいっそうおいしく感じるなあ」と思うことはありませんか。
今回は、秋だから誰でも食欲が増すと決めつけず、秋の味覚を入口に「おいしさ」の仕組みをのぞいてみます。
【おいしさは、舌だけで感じているわけではない】
食べものの風味は、甘みやうまみなどの味に、香り、温度、食感などが重なって生まれます。口に入れたものをかむと香りが放たれ、のどの奥から鼻へ届くことも、風味を感じる大切な手がかりです。[1]
「甘いから好き」と思っていた食べものも、実は香りや歯ざわりがお気に入りなのかもしれません。
例えば、梨を食べたときのシャキッとした感じ。焼きいもを割ったときの香りや、ほくほくした口当たり。こうした身近な感覚に目を向けると、秋の食卓を楽しむ視点が増えそうです。
【砂糖を足していない焼きいもが、甘い理由】
焼きいもには、調理中に甘みが生まれる仕組みもあります。
さつまいもを加熱すると、でんぷんが糊状になり、酵素の働きで「麦芽糖」という糖へと分解されます。この変化が、甘みが増す理由の一つです。[2]
ただ温かくなったから甘く感じる、というだけではなく、いもの中で実際に糖がつくられているのですね。
甘さは品種や加熱の仕方でも変わります。「前に食べたものと少し違う」と感じたら、品種や調理方法に注目するのも楽しそうです。[2]
【秋の味覚を、一つ言葉にしてみよう】
「おいしかった」を、もう少し具体的に言うなら、どんな言葉になるでしょう。
・ほくほくしている
・シャキシャキしている
・香ばしい
・やさしい甘みがある
正解を探す必要はありません。自分が何をおいしいと感じたか、気づいたことを一つ言葉にしてみましょう。家族や友人と「どんなところが好き?」と話してみるのも、食卓の小さな楽しみになりそうです。
【今週の目標】
最初のひと口、香りと食感を味わう。
特別な料理を用意しなくても大丈夫です。いつもの食事の最初のひと口で、どんな香りや食感があるか、少し意識を向けてみませんか。忙しい日も、まずはひと口から。
編集後記:今年の秋は、味わいの発見も楽しみに。
【次週のテーマはこちら!】
2026年10月号 第3週
涼しくなると、水分補給は減らしていい?
秋の暮らしと水分のとり方を考えます。
【参考資料】
[1] 米国国立聴覚・伝達障害研究所(NIDCD)「Taste Disorders」内「How does your sense of taste work?」
https://www.nidcd.nih.gov/health/taste-disorders
※風味と味・香り・食感・温度の関係について参照。
[2] 農林水産技術会議事務局「試験研究の雑学シリーズ」第3号(2010年2月15日)「電子レンジ加熱でも美味しいサツマイモ『クイックスイート』」
https://www.affrc.maff.go.jp/docs/zatugaku/pdf/zatugaku03.pdf
※加熱による麦芽糖の生成、品種・加熱条件の違いについて参照。
資料確認日:2026年9月8日